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『受胎告知』フラ・アンジェリコ 1440年 を解説

【西洋名画】「受胎告知」フラ・アンジェリコを解説

作品名受胎告知The Annunciation
画家名フラ・アンジェリコFra’ Angelico
制作年1440年代
様式初期ルネッサンス
所蔵サン・マルコ修道院美術館

作品解説

『受胎告知』フラ・アンジェリコ
『受胎告知』1440年代 サン・マルコ修道院美術館

受胎告知とは、新約聖書のワンシーン。
結婚を控えたマリアのもとに天使が現れ、神の子の懐妊を告げる場面の事です。

両手を前で交差させた大天使ガブリエルと聖母マリアの敬虞なポーズ、マザッチオから学んだ当時最新の遠近法を使って描かれた建物の描写が特徴です。

受胎告知を主題にした絵にはマリアを象徴する聖書や白百合の花、花瓶などが描かれる事が多いですが、この絵には一切装飾がありません。

大天使ガブリエルの鮮やかな羽は実際の鳥の羽を参考に描かれています。

もう一つの受胎告知

フラ・アンジェリコが描いたもう一つの『受胎告知』がマドリードのプラド美術館にあります。こちらは1426年頃の作品なので、先の『受胎告知』より15年以上前に描かれたものです。

『受胎告知』フラ・アンジェリコ
『受胎告知』1426年ごろ プラド美術館

プラド美術館の『受胎告知』はマリアの鮮やかな青い衣装と二人のピンク色の衣装、左上から真っ直ぐに伸びる光線が目をひきます。

左上には楽園から追い出されるアダムとイブが描かれて、左上の光源の中には手が差し出され、マリアに祝福と神の子を授けているように見えます。

聖書より抜粋

そのおとめの名はマリアといった。天使は、彼女のところに来て言った。

「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」

マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。 すると、天使は言った。

「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。 あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。 その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。」

マリアは天使に言った。

「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」

天使は答えた。

「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。 あなたの親類のエリサベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。 神にできないことは何一つない。」

マリアは言った。

「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」

そこで、天使は去って行った。

フラ・アンジェリコについて

生涯:1390年頃ー1455年

フラ・アンジェリコは敬虔な修道士でした。

生涯慎ましく生き、大司教の座を勧められても人に譲り、絵を描く前には祈りを捧げ、作品の代金は修道院に収めたという本当に天使のような人柄だったといいます。

清廉な生き方と清らかな画風から「絵筆を手にした天使」とも呼ばれました。