前回に続いて、ロンドンナショナルギャラリーの絵画紹介です。
> London National Gallery① 別館の有名作品20点+
この記事では、15世紀〜18世紀の絵画を中心に紹介していきます。
(見出しに「★」が付いているのは特に有名な作品です)
部屋番号
目次
Joachim Wtewael|The Judgement of Paris
1615, Joachim Wtewael
主題は「パリスの審判」。
パリスの審判とは…
ギリシア神話の一挿話で、トロイア戦争の発端とされる事件。
イリオス王プリアモスの息子パリスが、神々の女王ヘーラー・知恵の女神アテーナー・愛と美の女神アプロディーテーという天界での三美神のうちで誰が最も美しいかを判定させられた。
ルーベンス|The Judgement of Paris
probably 1632-5, Peter Paul Rubens
同じ主題でルーベンスが描いたもの
ルーベンス|The Rape of the Sabine Women
probably 1635-40, Peter Paul Rubens
主題は「サビニの女たちの略奪」。
古代ローマの伝説的挿話の1つ。
ローマがロームルスによって建国されたばかりのころ、最初の世代は女性が少なかった。子孫を残し国を維持するためには多数の未婚女性が必要だった。ローマ人はそれを近隣国に多く住み勇敢な部族であったサビニ人に求めたが、交渉は不首尾に終わった。そこでローマ人はサビニ人に奸計を仕掛け、大量の未婚女性を略奪した。
★ルーベンス|Samson and Delilah
about 1609-10, Peter Paul Rubens
ナショナルギャラリーのMUST SEEの一つ!
ルーベンスが描いた「サムソンとデリラ」。
旧約聖書・士師記に登場する英雄サムソンと美女デリラの物語です。
古代イスラエルの士師・サムソンはソレクの谷に住むデリラという女性を愛するようになったため、ペリシテ人はデリラを利用してサムソンの力の秘密を探ろうとした。サムソンはなかなか秘密を教えなかったが、とうとう頭にかみそりをあててはいけないという秘密を話してしまう。デリラの密告によってサムソンは頭をそられて力を失い、ペリシテ人の手に落ちた。
描かれているのは、美女デリラの膝の上で眠るサムソンに髪の毛を、ペリシテ人の男性がハサミで切るシーンです。
アンソニー・ヴァン・ダイク|Drunken Silenus supported by Satyrs
about 1620 Anthony van Dyck
ヴァン・ダイクはバロック期のフランドル出身の画家です。
アンソニー・ヴァン・ダイク|Portrait of François Langlois
probably early 1630s Anthony van Dyck
レンブラント|Self Portrait at the Age of 34
レンブラント34歳の自画像
レンブラント|Self Portrait at the Age of 63
レンブラント63歳の自画像
Helst|Portrait of a Lady in Black Satin with a Fan
1644, Bartholomeus van der Helst
レンブラント|ベルシャザールの饗宴
Belshazzar’s Feast about 1636-8, Rembrandt
旧約聖書の「ダニエル書」の「壁に字をかく指」のエピソードを描いた作品です。
新バビロニア王ナボニドゥスの子ベルシャザルは、エルサレムの神殿を破壊し略奪してきた金銀の器を使用して、豪勢な酒宴を開いていたところ、突然人間の手があらわれ壁に謎の文字を書き残した。この文字は、多くの賢者が挑戦したが読み解けず、ダニエルが読み解いた。
Johann Liss|Judith in the Tent of Holofernes
about 1622, Johann Liss
個人的にも好きな主題「ユディト」。
ユディトは旧約聖書外典の『ユディト記』に登場するユダヤ人女性。敵の将軍ホロフェルネスの首を斬った未亡人です。
ユディトが描かれるときは必ず将軍の生首とセットがお約束ですが、この絵ではユディトは後ろ向きで、手に持った首は一部しか見えない珍しい構図です。
Aert de Gelder|Judah and Tamar
about 1681, Aert de Gelder
主題は「ユダとタマル」。
タマルは旧約聖書の「創世記」に登場する女性でユダの息子たちの妻。娼婦と偽ってユダと関係を持ち子供を産みました。
この絵ではユダを誘っているシーンが描かれています。
ユダの長男・エル(英語版)と結婚するが、死別。その後、ユダは次男・オナンに対し、タマルと結婚し兄の血筋を残すよう命じる。しかし、オナンはタマルと関係を持つたびに、子種を地に流した(膣外射精)ため、神により殺される。ユダは、タマルに、三男シェラ(英語版)が成人するまで未亡人として実家に留まるよう命じた。
その後、タマルはシェラと再婚する見込みがないことが判明すると、身分と姿を娼婦に偽り、ユダと関係を持つ。この時、代価の支払いの保証として、ユダの印章と杖を預かった。タマルの姦淫を密告するものがあったが、相手がユダであることが証明され処罰を免れる。タマルはペレツとゼラという双生児を出産した。(『創世記』38章)
Hendrik Goltzius|Jupiter and Antiope
1612, Hendrik Goltzius
主題は「ユピテルとアンティオペ」。ギリシャ神話のゼウスがアンティオペを誘惑する物語です。
レンブラント|姦通の女
The Woman taken in Adultery 1644, Rembrandt
主題は「罪の女」。
新約聖書のルカによる福音書に登場し、イエスによって多くの罪を許される女性。
イエスが「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」と言うシーンです。
プッサン|The Adoration of the Golden Calf
1633-4, Nicolas Poussin
ニコラ・プッサンが描いた「黄金の子牛礼拝」。旧約聖書の「出エジプト記」のエピソードです。
神から十戒の石板を授かりシナイ山から帰還したモーセは、同胞のヘブライ人がアロンによって建立された祭壇で黄金の子牛像を崇めているのを見つけたシーンです。
プッサン|The Annunciation
1657, Nicolas Poussin。主題は「受胎告知」。
★モネ|Bathers at La Grenouillère
1869, Claude Monet
モネの作品。
★マネ|The Execution of Maximilian
Edouard Manet about 1867-8
マネの「皇帝マキシミリアンの処刑」の試作画です。
★ゴッホ|Long Grass with Butterflies
1890, Vincent van Gogh
★ゴッホ|Van Gogh’s Chair
1888, Vincent van Gogh
「ゴッホの椅子」。「ゴーギャンの椅子」と対で描かれた作品です。
「ゴーギャンの椅子」はアムステルダムのゴッホ美術館にあります。
★ゴッホ|Sunflowers
1888, Vincent van Gogh
有名な「ひまわり」は貸出中でした。残念!
★ゴッホ|Two Crabs
1889, Vincent van Gogh
マティス|Portrait of Greta Moll
Henri Matisse|Portrait of Greta Moll 1908
★ドガ|Combing the Hair
Combing the Hair (‘La Coiffure’)
about 1896, Hilaire-Germain-Edgar Degas
★ピカソ|Motherhood
Motherhood (La Maternité)
1901, Pablo Picasso
★ルソー|Surprised!
Surprised! 1891, Henri Rousseau
Odilon Redon|花に囲まれたオフェーリア
Ophelia among the Flowers
about 1905-8, Odilon Redon
★ドガ|バレエダンサー
Ballet Dancers
about 1890-1900, Hilaire-Germain-Edgar Degas
★クリムト|Portrait of Hermine Gallia
Portrait of Hermine Gallia
1904, Gustav Klimt
セザンヌ|画家の父
The Painter’s Father, Louis-Auguste Cézanne
about 1865, Paul Cézanne
セザンヌ|白い水差しの静物画
Still Life with Water Jug
about 1892-3, Paul Cézanne
★セザンヌ|バザー
Bathers (Les Grandes Baigneuses)
about 1894-1905, Paul Cézanne
★モネ|白い睡蓮の池
The Water-Lily Pond
1899, Claude Monet
★モネ|白い睡蓮、沈む夕日
Water-Lilies, Setting Sun
about 1907, Claude Monet
★ベラスケス|ヴィーナスの化粧
The Toilet of Venus (‘The Rokeby Venus’)
1647-51, Diego Velázquez
★ベラスケス|スペイン王フィリップ4世
Philip IV of Spain in Brown and Silver
about 1631-2, Diego Velázquez
★ベラスケス|マルタとマリアの家のキリスト
Christ in the House of Martha and Mary
probably 1618, Diego Velázquez
ベラスケス|The Immaculate Conception
The Immaculate Conception
1618-19, Diego Velázquez
This painting is part of the group: Two Paintings for the Shod Carmelites, Seville
★ムリーニョ|子羊と幼い洗礼者ヨハネ
The Infant Saint John with the Lamb
1660-5, Bartolomé Esteban Murillo
★カラヴァッジオ|トカゲに刺された少年
Boy bitten by a Lizard
about 1594-5, Michelangelo Merisi da Caravaggio
★カラヴァッジオ|エマスの晩餐
The Supper at Emmaus
1601, Michelangelo Merisi da Caravaggio
3記事に分けてやっと終ったナショナルギャラリー!素晴らしい美術館でした。