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【日本語の鼻音とは】[m][n][ɲ][ŋ][ɴ] – 5つの発音記号と例語一覧|日本語・英語・インドネシア語で比較

日本語の発音記号 鼻音

[ m ] マ行 : 有声・両唇・鼻音

  • 日本語のマ行:「マ」「ミ」「ム」「メ」「モ」の頭の音
  • 両唇を閉じて、鼻から息を抜いて声を出す音
  • 声帯を震わせる「鼻音(nasal voice)」で、やわらかく響く
  • 日本語・英語・インドネシア語いずれでも頻出
  • 会話・文章の中で語頭・語中・語末すべてに現れる音

🇯🇵 [m] を含む日本語の単語

単語発音(IPA)説明
ママ(mama)[ma.ma]母親(幼児語)
みみ(mimi)[mi.mi]
うまい(umai)[ɯ.ma.i]美味しい、上手
かみ(kami)[ka.mi]紙、神、髪などの語
しめきり(shimekiri)[ɕi.me.ki.ɾi]締め切り(期限など)

🇺🇸 [m] を含む英語の単語

単語発音(IPA)意味
me[miː]私(目的格)
milk[mɪlk]牛乳
name[neɪm]名前
summer[sʌ.mɚ](米) / [sʌ.mə](英)
time[taɪm]時間、時刻

🇮🇩 [m] を含むインドネシア語の単語

単語発音(IPA)意味
makan[ma.kan]食べる
rumah[ru.mah]
malam[ma.lam]
kamu[ka.mu]あなた(くだけた言い方)
mimpi[mim.pi]夢(名詞)

📝 備考

  • [m] は有声・両唇・鼻音で、唇を閉じながら鼻から音を出します。
  • 日本語では語頭・語中・語末すべてに頻出(例:耳(mimi)、甘い(amai)、雨(ame))。
  • 英語やインドネシア語でも極めて頻繁に使われ、[n] や [ŋ] との音の違いに注意が必要です。
  • 発音の際は、口を閉じたまま鼻に響かせる感覚をつかむのがポイントです。
日本語の発音記号 鼻音

[ n ] ナ行 :有声・歯茎・鼻音

  • 日本語のナ行の4つ:「ナ」「ヌ」「ネ」「ノ」などの頭の音
  • 舌先を上の前歯のすぐ後ろ(歯茎)につけて、鼻から息を抜いて声を出す音
  • 声帯を震わせる「鼻音(nasal voice)」で、明るく通るような響き
  • 日本語・英語・インドネシア語いずれでも非常に頻出
  • 会話・文章の中で語頭・語中・語末すべてに現れる音

🇯🇵 [n] を含む日本語の単語

単語発音(IPA)説明
なに(nani)[na.ni]何、what
にんげん(ningen)[niŋ.geɴ]人間
さかな(sakana)[sa.ka.na]
あんな(anna)[aɴ.na]あのような
しんぱい(shinpai)[ɕim.pa.i](音変化あり)心配

🇺🇸 [n] を含む英語の単語

単語発音(IPA)意味
no[noʊ]いいえ
name[neɪm]名前(※[m] も含む)
night[naɪt]
new[nuː](米) / [njuː](英)新しい
run[rʌn]走る

🇮🇩 [n] を含むインドネシア語の単語

単語発音(IPA)意味
nama[na.ma]名前
anak[a.nak]子ども
nenek[ne.nek]おばあちゃん
senang[sə.naŋ]うれしい、楽しい
panas[pa.nas]暑い、熱い

📝 備考

[n] は有声・歯茎・鼻音で、舌先を上の歯茎にしっかり当てて鼻に響かせます。

  • 日本語では、語頭(なに)、語中(さかな)、語末(しん)のように幅広く使われます。
  • 英語では、run や name のように母音と組み合わさって響きが強調されることが多いです。
  • インドネシア語でも nama、anak など基本語彙に頻出し、[ŋ](ng音)との区別が特に重要です。

✅ 発音のコツ:舌先を軽く前歯の裏に当てて、口は開いたまま鼻に通す感覚を身につけましょう。

日本語の発音記号 鼻音

[ ɲ ] 「ニ」「ニャ」 :有声・硬口蓋・鼻音

  • 日本語の「ニ」「ニャ」などに現れる音
  • 舌の中央部分を硬口蓋(上あごの硬い部分)に押し付け、鼻から息を抜いて声を出す音
  • 声帯を震わせる「鼻音」で、やわらかく滑らかな響き
  • IPAでは 硬口蓋鼻音(palatal nasal) とされ、[n] が母音 [i] や拗音 [ya, yu, yo] に続くときに現れることが多い(例:にんじん/ninjin)
  • 日本語では音素 [n] の異音として自然に出現するが、スペイン語やイタリア語などでは独立した音素

🇯🇵 [ɲ] を含む日本語の単語(発音上)

単語発音(IPA)説明
にんじん(ninjin)[ɲiɴ.ʑiɴ]人参(野菜)
にゃんこ(nyanko)[ɲaɴ.ko]ネコの幼児語・愛称
におい(nioi)[ɲi.o.i]匂い、香り
にく(niku)[ɲi.ku]肉([n]→[ɲ])※話者によって異なる
たにん(tanin)[ta.ɲiɴ]他人([n]→[ɲ])※連結時に生じることも

※表記上はすべて「に」などの [n] だが、発音上 [ɲ] に近くなる


🇺🇸 [ɲ] は英語には存在しない

  • 英語には [ɲ] 音素は存在しません
  • ただし、[nj] の連続(例:canyon [ˈkænjən])が [ɲ] に近い音に聞こえる場合もある
単語発音(IPA)補足
canyon[ˈkænjən][nj] の部分が [ɲ] に近い滑らかな音になる
onion[ˈʌnjən][nj] を滑らかに発音すると [ɲ] に似る

🇮🇩 [ɲ] を含むインドネシア語の単語(綴り「ny」で表記)

単語発音(IPA)意味
nyamuk[ɲa.muk]
nyanyi[ɲa.ɲi]歌う(動詞)
banyak[ba.ɲak]多い、たくさんの
nyata[ɲa.ta]現実の、明らかな
senyum[sə.ɲum]微笑む(動詞・名詞)

📝 備考

  • [ɲ] は日本語では**音素ではなく、[n] の異音(発音の変化)**として自然に現れます。
  • 特に [n] の後に [i] や [j](ヤ行の音) が続くと、舌が自然と硬口蓋に近づき、[ɲ] に近い発音になります。
  • インドネシア語やスペイン語では、綴りの上でも独立した音素として表記され、学習者にとってははっきりした音の区別が必要です。

✅ 発音のコツ:舌の中央を上あごの硬い部分につけ、口を少し開けて、にゃーのような柔らかい音を鼻に響かせる感覚がポイントです。

日本語の発音記号 鼻音

[ ŋ ] ガ行 : 有声・軟口蓋・鼻音

  • 日本語のガ行:「ガ」「ギ」「グ」「ゲ」「ゴ」の音
  • 舌の後部を軟口蓋(上あごの柔らかい部分)に当て、鼻から息を抜いて発音する
  • 声帯を震わせる「鼻音(nasal voice)」で、のど奥に響くような音
  • IPAでは 軟口蓋鼻音(velar nasal) と呼ばれる
  • 英語やインドネシア語では明確な音素として存在し、日本語では[g] の前に現れる異音として自然に出る(特に「ん+が行」)

🇯🇵 [ŋ] を含む日本語の単語(鼻濁音)

単語発音(IPA)説明
かんがえる(kangaeru)[ka.ŋ.ga.e.ɾɯ]考える
ほんが(hon ga)[hoŋ.ga]本が
かんきゃく(kankyaku)[ka.ŋ.kʲa.kɯ]観客(※連続音によって [ŋ] に)
まんが(manga)[ma.ŋ.ga](関東方言)漫画
さんがつ(sangatsu)[sa.ŋ.ga.tsɯ]三月

・[ŋ](鼻濁音)は、「ん」の後に「が・ぎ・ぐ・げ・ご」などの濁音が続く場合に現れやすい。
・標準語(特にアナウンス、朗読)で明瞭に発音されますが、方言や話者によっては意識されません。

🇺🇸 [ŋ] を含む英語の単語

単語発音(IPA)意味
sing[sɪŋ]歌う
king[kɪŋ]王様
ring[rɪŋ]指輪、鳴る
morning[ˈmɔːrnɪŋ](米)/ [ˈmɔːnɪŋ](英)
thinking[ˈθɪŋkɪŋ]考えること、思考

[ŋ] は英語の「ng」 のつづりに対応しています(特に語尾で現れます)

🇮🇩 [ŋ] を含むインドネシア語の単語

単語発音(IPA)意味
datang[da.taŋ]来る
bintang[bin.taŋ]
senang[sə.naŋ]嬉しい、楽しい
langsung[laŋ.suŋ]直接、すぐに
tangan[ta.ŋan]

📝 備考

  • [ŋ] は日本語では /g/ という音素の異音(発音の揺れ)で、「が」「ぎ」などのガ行 が、語中や助詞として現れるときに [ŋ] で発音されることがあります
  • 英語とインドネシア語では、[ŋ] は独立した音素であり、他の音([n]や [g])と明確に区別されます
  • インドネシア語では語末に [ŋ] が来る単語が非常に多く、学習者は聞き取り・発音練習が重要

[ ɴ ] 「ん」: 有声・口蓋垂・鼻音

  • 日本語の「ん」に相当する音で、口蓋垂(のどの奥)に舌を近づけて鼻から音を出す
  • 日本語独特の音で、音素として [ɴ] を持つ言語は非常にまれ
  • 単語の語尾や語中に現れることが多い
  • 英語やインドネシア語には基本的に [ɴ] は存在せず、代わりに [n], [ŋ], [m] などを使用

🇯🇵 [ɴ] を含む日本語の単語

単語発音(IPA)説明
本(hon)[hoɴ]書籍(和語)
日本(Nihon)[ni.hoɴ]日本
さん(san)[saɴ]~さん(敬称)
いんさつ(insatsu)[iɴ.sa.t͡sɯ̟ᵝ]印刷
しんごう(shingō)[ɕiɴ.ɡoː]信号(交通信号)

「ん」は語によって異なる鼻音([m], [n], [ŋ], [ɴ])として発音されますが、語尾では主に [ɴ] が用いられます。

🇺🇸 [ɴ] は存在しないが、近い鼻音の例([n], [ŋ])

単語発音(IPA)意味
sun[sʌn]太陽
king[kɪŋ]王様([ŋ])
man[mæn]男性
sign[saɪn]サイン、兆し(綴りは “gn”)
can[kæn]~できる、缶

🇮🇩 [ɴ] は存在せず、[n] や [ŋ] を使用

単語発音(IPA)意味
anak[a.nak]子ども([n])
tangan[ta.ŋan]手([ŋ])
dengan[də.ŋan]~と一緒に([ŋ])
senang[sə.naŋ]嬉しい([ŋ])
kanan[ka.nan]右([n])

📝 備考

  • 日本語の「ん」は位置によって発音が変わるが、語尾などで使われる「ん」は主に [ɴ]
  • 英語やインドネシア語では、音素 [ɴ] は使われず、[n], [m], [ŋ] などで対応
  • [ɴ] は、母音につながらない閉音節の終わりの子音として重要