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【解説】2025年8月インドネシアの大規模デモ|背景・出来事を時系列でまとめ【9月5日時点】

こんにちは!オンライン日本語講師のコニです。今日は先週から大騒ぎになっている「インドネシアの大規模デモ」について取り上げたいと思います。

今回、インドネシア各地で発生した大規模なデモと暴動は、議会への抗議、地方税への反発、そして警察の対応に対する怒りが重なり、市民の感情が一気に爆発したものだと言われています。

私自身、今回のデモの背景やここまで大規模化した理由が断片的にしか分からなかったので、ネットニュースやChatGPTで調べつつ、周りのインドネシア人の友人の話も聞きながらまとめてみました。

この記事では、インドネシアのデモのトリガーとなった出来事を時系列で整理し、その背景をわかりやすく解説します。ChatGPTのファクトチェック済みの内容ですが、あくまで個人的な見解であることにご留意ください。

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目次

なぜインドネシアで大規模デモが起きたのか

デモの直接的な引き金は「議員の高額住宅手当(5000万ルピア = 約45万円)」でした。しかし、実際にはそれ以前から不満が積み重なっていました。地方の増税、国会議員の軽率な発言、警察による表現の自由の圧迫など、さまざまな出来事が国民の感情を逆撫でしていた背景があります。以下で、デモのトリガーとなった重要な出来事を時系列に見ていきましょう。

デモを引き起こした背景とは?重要な出来事を時系列で整理

いろいろな出来事が重なって今回のデモに至ったのですが、その始まりをどこに置くかは難しいところです。私はひとまず、2023年10月の「大統領出馬条件の例外事件」から振り返ってみたいと思います。

2023年10月:ジョコウィの長男ギブランの出馬を可能にした、大統領選出馬の例外事件

2023年10月、インドネシア憲法裁判所は、大統領・副大統領候補に必要とされていた「40歳以上」という年齢制限に例外を設ける判決を下しました。

それまで、「40歳未満は立候補不可」だったのが、「地方首長などの行政経験者であれば40歳未満でも立候補できる」と条件を緩めたのです。この決定によって、当時36歳だったジョコウィ大統領の長男ギブラン・ラクブミング・ラカ氏(ソロ市長)が副大統領候補として立候補する事が可能になりました。

国民の多くはこの判決を「ギブラン氏のために作られた特例」と受け止め、強い反発が巻き起こりました。特に問題視されたのは、判決を下した憲法裁判所の長官アンワル・ウスマン氏がジョコウィの義兄であった点です。司法の独立性が損なわれたのではないかという疑念が広がり、「ネポティズム(縁故主義)」や「民主主義の後退」と批判されました。市民団体らは「政治的世襲」「権力濫用」を理由にギブラン氏らを訴えましたが、ジャカルタ行政裁判所は選挙前日に訴えを却下しました。

その結果、ギブラン氏は2024年の大統領選挙でプロボウォ候補の副大統領として出馬し、当選を果たしましたが、この過程は「ジョコウィ政権が司法を動かし、息子の道を開いた」と広く認識されました。この事件は、後に続く抗議や民主主義への不信感の温床となり、市民が権力世襲に敏感に反応する背景を形作った重要な転機でした。

2024年5月:ジョコウィの次男カエサンの出馬をめぐる、出馬の年齢修正事件

2024年5月、また同じような事が起こりました(!)

インドネシア最高裁は、地方首長選挙の年齢要件を「立候補時」ではなく「就任時」に満たせばよいとする判断を下しました。これにより、当時29歳だったジョコウィ大統領の次男カエサン・パングラレップ氏も、当選時には30歳となるため立候補資格を得られることになりました。

この判決は「大統領の息子のために法律を都合よく変えた」と広く受け止められ、ジョコウィ本人が直接関与したか否かは明言されていないものの、「政権の影響力が司法判断に及んだのではないか」という強い疑念が国民の間に広がりました。ジョコウィ政権下で続いた「家族優遇」の流れと結びつけられたため、国民はこれを単なる司法判断ではなく「大統領の政治的工作」と見なし、批判の矛先はジョコウィ本人にも向けられました。

SNS上ではプロフィールを青色のガルーダに変える運動や「Indonesia Darurat(インドネシアは非常事態)」のスローガンが拡散し、世襲政治と民主主義の後退への怒りが可視化されました。この頃、Instagramを開くと青いガルーダアイコンの投稿ばかりで、いつものデモとは違う、差し迫った雰囲気を感じたのを覚えています。

この判決自体は撤回されませんでしたが、強い批判を受けてカエサン氏は出馬を見送りました。しかし、この事件はジョコウィ政権への信頼を大きく揺るがし、後の抗議運動の重要な伏線になりました。

2024年5月:ジョコウィの長男ギブランが副大統領に。権力世襲選挙

2024年2月に行われた大統領選挙では、元国防相プロボウォ・スビアント氏が勝利し、ジョコウィ大統領の長男ギブラン・ラクブミング・ラカ氏が副大統領に選出されました。先に述べた前年の憲法裁判所判決によって年齢制限が修正され、まだ40歳に達していなかったギブラン氏が出馬できたことは記憶に新しく、国民の間では「この選挙は実質的にジョコウィによる権力の世襲だ」との批判が噴出しました。

プロボウォは軍人出身で、かつてスハルト元大統領の娘婿であり、独裁政治を敷いたスハルト体制の有力な側近としても知られてきました。その副大統領に現職大統領の息子が就任するという構図は、権力集中と民主主義の衰退を象徴と受け止めた人々も多かったようです。選挙結果そのものは合法的に確定しましたが、国民の不満や不安は根強く、後の抗議運動や「民主主義後退」論の土台を作りました。

2024年10月20日:政権交代と強権への不安

2024年10月20日、ジョコウィ氏は2期10年の任期を終えて退任し、プロボウォ政権が正式に発足しました。ギブラン氏は副大統領に就任し、「ジョコウィの影響力を保持する新体制」が誕生したとの見方が広がりました。

プロボウォ氏は軍人としての経歴と強硬な発言で知られ、市民の間では「軍事色の強い強権政治が再来するのではないか」という懸念が根強くありました。さらに、息子を副大統領に据えたことから、ジョコウィが退任後もなお政界や経済界に影響を及ぼすと見られ、「裏から政治を操る存在」との批判も浮上しました。

【補足】ジョコウィ大統領の功績への評価は国内外でも分かれているようです。私の信頼するインドネシア人の友人の中にも、ジョコウィ氏を評価する人と批判する人がいます。個人的な意見ですが、インドネシアの「支持率」「世論調査」などは操作されている可能性があるのであまり当てにならないと思っています。また、日本のメディアはジョコウィ氏を肯定的に報道している印象があります。

2024年12月:ジョコウィの風刺画の展示中止事件

2024年12月19日、ジョグジャカルタ出身の画家 ヨス・スプラプト氏(Yos Suprapto) による個展が、開幕直前にジャカルタ国立美術館で突如中止されました。

展示予定だった作品30点のうち、前大統領ジョコウィ氏を批判的に描いた5点の絵が問題視され、担当キュレーターの要請によって2点は黒布で覆う対応に応じたものの、3点のさらなる削除要求には画家が拒否。結果的にキュレーターが辞任し、展示は開かれることなく終了しました。

ヨス氏自身はこの決定を「検閲(censorship)」と強く非難し、「芸術家は社会の腐敗に鋭敏化するパブリック・インテリジェンスである」として、表現の自由への警鐘を鳴らしました。この事件は政治が芸術に介入したとして、国内外で大きな議論となりました。

ヨス氏のインスタグラム→ https://www.instagram.com/yos_suprapto/

✅ 展示会中止事件については、このブログで詳しく紹介されています⬇︎

【2024年】ジョコウィ風刺画の展示会中止事件とは?民主主義の後退?インドネシアの芸術検閲

2024年12月:警察を批判したバンドへの弾圧事件

2025年2月、インドネシアのポストパンク・デュオ「Sukatani(スカタニ)」が発表した楽曲「Bayar(払え)」が波紋を呼びました。曲は繰り返し「Bayar! Bayar! Bayar!(払え、払え、払え)」と叫び、警察が市民から賄賂を要求する様子を風刺する内容で、SNSを通じて若者の間で瞬く間に広がり、指示を集めました。

Sukataniはもともと覆面バンドとして活動していましたが、発表直後、警察当局はメンバーを呼び出し、「治安を乱す」として謝罪動画の公開と楽曲の削除を強要。二人は素顔をさらして謝罪ビデオを公開することに。あわせて、勤めていた学校から突然教職を解雇される事態にも発展しました。

⬇︎ 顔出し公開謝罪ビデオ

その後、メンバーはインタビューの中で「私たちは脅迫を受け、音楽活動を続けるために従わざるを得なかった」と明かし、当局からの圧力を認めています。この顛末は国内外で大きな反発を呼び、SNSでは #KamiBersamaSukatani(スカタニと共に)というハッシュタグが拡散。特に若者の間で「これは表現の自由に対する弾圧だ」という認識が共有されました。現在はYouTubeで視聴できる状態です。

✅ スカタニ事件については、このブログで詳しく紹介されています⬇︎

インドネシアのバンドSukatani事件とは?『Bayar Bayar Bayar』の歌詞全文と日本語訳・英訳

2025年5月:ジャワ州パティ大増税事件

2025年5月、中部ジャワ州パティ(Pati)県で発表された土地・建物税(PBB-P2)の最大250%増税は、農村社会に大きな衝撃を与えました。農業と小規模事業に依存する住民にとって、この増税は生活基盤を直撃するものであり、「払えない」「農地を手放すしかない」といった声が相次ぎました。発表直後から農民団体や地元の中小企業協会は強い反対を表明し、地域紙やラジオで「庶民から搾取する政策だ」と批判が噴出しました。

SNS上でも#TolakPajakPaty(パティ増税反対)というハッシュタグが拡散し、学生グループや市民団体も連帯を表明。政府側は「財政健全化のため」と説明しましたが、住民には「上層部の無駄遣いを庶民に押し付けている」と受け止められました。

2025年8月10〜13日:ジャワ州パティ抗議デモ

増税に抗議する住民の不満はついに行動に移され、2025年8月10日から13日にかけてパティ中心部で数千人規模のデモが繰り広げられました。農民団体の指導者たちが先頭に立ち、学生グループが「Revolusi dari Pati(革命はパティから)」と掲げて参加。道路を埋め尽くす群衆は、政府庁舎前で抗議を行い、一部では治安部隊との衝突が発生しました。

警察による催涙ガス使用や参加者の拘束が報じられると、SNSで抗議映像が拡散し、全国の市民に強い共感を呼びました。各地で「パティに続け」という呼びかけが相次ぎ、農村から都市部にまで不満の声が波及。これによりパティ抗議デモは単なる地方の税制反対運動ではなく、中央政府の政策や政治腐敗への怒りを象徴する存在となりました。

2025年8月15日:国会で議員が踊り出す「ジョゲ」事件

2025年8月15日、国会議事堂で行われた本会議の閉会後、大勢の議員が議場内で伝統舞踊Joget(ジョゲ)を踊り始める映像がSNSで拡散しました。物価高や失業、地方増税などで庶民が苦しむ最中に、議員が議場を“ダンスホール化”した姿は「国民を侮辱している」と強い反感を買いました。

映像は瞬く間に炎上し、SNSでは「#BubarkanDPR(議会を解散せよ)」がトレンド入り。さらに一部議員が「庶民は理解が足りない」と反論したことで批判が一層激化しました。この事件は、議会が国民の生活苦からいかに乖離しているかを象徴する出来事とされ、市民の不満を一段と高めることになりました。結果的に、ジョゲ事件は単なる不適切行動にとどまらず、後の全国的な抗議デモの“点火役” の一つになりました。

2025年8月22日:議員の「国民は愚か者」発言炎上事件

2025年8月22日、インドネシア北スマトラ州警察本部(Polda Sumut)を訪問した後、ジャカルタでの記者取材に応じたアフマド・サハロニ氏(Ahmad Sahroni)議員(NasDem党、国会第III委員会副議長) が、国民の反発を招く発言を行いました。

サハロニ氏は記者の質問に答える中で、 “Orang yang cuman mental bilang bubarin DPR, itu adalah orang tolol sedunia.” と述べました。直訳すると、「『議会を解散せよ』と言うような人間は、世界で最も愚かな人だ。」という意味になります。

この発言はすぐにSNSやオンラインメディアで拡散し、「国民を愚か者扱いした」として強い怒りを呼びました。特に、すでに議会に対する不満が高まっていた時期であったため、サハロニ氏の言葉は「国民の声を侮辱する傲慢な態度」として炎上。#BubarkanDPR(議会を解散せよ)のハッシュタグと並び、批判的な投稿が一斉に拡散されました。

サハロニ氏は後に釈明を試みましたが火消しにはならず、この「愚か者発言」は8月末の抗議運動をさらに全国規模へと広げる引き金となりました。国民の間では「権力者が民意を聞くどころか嘲笑する」という不信感が決定的になり、世論の怒りに追い討ちをかけました。

2025年8月25日:議員への高額な住宅手当支給事件

2025年8月25日、副議長の発言を通じて議員に月50 jutaルピア(約50万円)の住宅手当が支給されていることが明らかになりました。これはジャカルタの最低賃金(5jutaルピア = 約5万円)の約10倍に相当する額であり、家賃補助が庶民に届かない中での特権は、瞬く間に国民の怒りを買いました。

ニュースが報じられると、SNSでは「#PotongTunjanganDPR(議員手当を削れ)」が拡散し、国会前や地方都市で抗議行動が相次ぎました。問題を軽視するかのように「当然の権利だ」と述べた議員の発言も炎上し、政治家と市民の乖離を象徴する発言として批判の的となりました。このスキャンダルは、国会への信頼を根底から揺るがし、「庶民には増税、議員には特権」という構図を浮き彫りにしました。結果として、市民の怒りは一気に全国に波及し、8月末の抗議デモが暴動化する直接的な導火線になりました。

2025年8月28日:警察装甲車によるバイクドライバーの死亡事件

2025年8月28日、ジャカルタで行われた議会抗議デモの最中に、オンライン配達アプリ勤務中だった21歳のドライバー、アファン・クルニアワン氏が警察の装甲車両に轢かれて死亡する痛ましい事故が起きました。SNSで拡散された追突映像は強い衝撃を呼び、すぐに #JusticeForAfan のハッシュタグが拡大。庶民の犠牲と政治権力への深い不信を象徴する事件として、人々の怒りが爆発しました。

当初、警察当局は「事故」と説明しましたが、後にジャカルタ警察本部長(Asep Edi Suheri)が遺族へ深く謝罪。Brimob司令官も公式に謝罪の言葉を表明しました。プラボウォ大統領はテレビ演説で「衝撃と失望」を口にし、透明な捜査と関係者への責任ある処置を約束。追悼と支援のため、大統領、国防大臣、閣僚らが遺族宅を訪問し、自宅提供や子供への教育支援など、政府からも具体的な救済措置が取られました。しかし、この対応がデモの怒りを鎮める事にはなりませんでした。

2025年8月29日:アファンさんの追悼行進、議員の家襲撃など(デモピーク)

アファン氏の追悼行進

29日の朝、アファン氏を悼む大規模な追悼行進がジャカルタで行われました。数千台におよぶオンライン配車アプリのドライバー(Grab、Gojekなど)が緑色のジャケットとヘルメットを着けて道路を埋め尽くし、葬列の車列を先導しました。SNSでは「ジャカルタの道路が祈りの海になった」と表現され、「民主主義の戦士(Pejuang demokrasi)」として送り出す声が相次ぎました。「Kawan-kawan ojol mengantarkan alm. Affan menuju ke pemakaman(仲間の配達ドライバーがアファンを墓地まで送り届けた)」というスローガンが広がり、現場には市民や仲間たちの祈りと怒りが交錯しました。

暴徒による国会議員の家襲撃

29日の深夜、議員や閣僚の自宅が相次いで暴徒に襲撃されました。まず標的となったのはNasDem党のアフマド・サハロニ議員です。「国民を愚か者と呼んだ」との発言が炎上し、ジャカルタ北部タジュンプリオクの自宅が暴徒に荒らされました。略奪品にはアイアンマンの等身大像やテレビ、さらにはテスラモデルX、ポルシェ356、フォード・マスタング、レクサスRZといった高級車まで含まれていたとSNSで話題となりました。

さらに同じ夜、襲撃は他の議員宅にも拡大。PAN所属のEko Patrio氏、タレント出身のUya Kuya氏、歌手で政治家のNafa Urbach氏らが被害を受け、テレビや冷蔵庫、衣類や日用品まで持ち去られました。そして8月31日未明には、南タンゲラン・ビンタロ地区のスリ・ムルヤニ財務大臣宅が暴徒に略奪されました。電子機器や宝飾品、調理器具、さらにはバスケットゴールまで奪われ、花火が襲撃開始の合図になったとの証言も出ています。

マカッサル議会の放火

同じ29日夜、南スラウェシ州マカッサル市でもデモが暴力的な事態に発展。市内の地方議会庁舎(DPRD Sulawesi Selatan)がデモ参加者によって放火され、建物全体が炎に包まれました。火災は夜遅くまで続き、逃げ遅れた職員や関係者が被害を受け、少なくとも3人が死亡、5人が負傷したと報じられています。

マカッサルでの配達ドライバー死亡事件

同じマカッサルでの出来事。抗議デモの混乱の中、オンライン配車アプリ「Grab」の配達ドライバー ルスダミャンシャ・ダンディ(Rusdamiansyah Dandi, 25歳) さんが暴徒に襲撃されました。

現場はUMI(Indonesian Muslim University)付近で、彼は「情報機関のスパイ(intel)」だと誤解され、群衆から集団暴行を受けたそうです。病院に搬送されましたが、翌30日に死亡が確認されました。

マカッサルBPBDのムハンマド・ファドリ・タハール氏は「彼がスパイと疑われて襲われたとみられる」と説明。Grab社も公式Instagramで哀悼を表明し、7年以上の勤務歴を持つルスダムさんを「単なる配達パートナーではなく、仲間であり家族の一員」と追悼しました。また、Grabは遺族への支援を約束しました。

2025年8月31日:50jutaの住宅手当支給がキャンセルに

2025年8月31日、国会議員への高額住宅手当(月額約5,000 USD/5,000万ルピア)への国民の怒りと全国的な抗議を受けて、プラボウォ大統領はついに措置を講じました。

国会議員への住宅手当を撤回し、議員の海外出張についてもモラトリアム(当面の凍結)を発表。政府は混乱収束に向けて、議会の特権的措置を削減し、国民の信頼回復を図る姿勢を示しました。

2025年9月1日:市民活動家やインフルエンサーが「17+8の人民要求」を公表

2025年9月1日、SNS上でインフルエンサーのジェローム・ポリンや市民活動家サルサ・エルウィナらが一斉に投稿し、「17+8人民の要求(17+8 Tuntutan Rakyat)」が発表されました。

これは各地で広がった抗議運動の中で、市民の声を具体的にまとめたものです。内容は二つの柱に分かれています。ひとつは、警察暴力の調査や議員特権の撤回など、1週間以内に実施すべき17の短期的要求。もうひとつは、議会改革や汚職撲滅法の制定など、1年以内に取り組むべき8つの長期的要求です。市民はこの「17+8」を合言葉に、デモやSNSでの連帯を強め、政府と国会に対して即時の対応と持続的な改革を求めました。

「17+8の人民要求(Tuntutan Rakyat)」の内容(簡易版)

短期的要求(17項目/2025年9月5日までに実施)

  1. 軍(TNI)の民事介入停止、デモ参加者の非犯罪化
  2. 警察暴力による犠牲者の独立調査委員会設置
  3. 議員給与・手当の凍結、新特権の撤回
  4. DPR資金の透明化
  5. 問題議員の調査(名誉委員会による)
  6. 倫理違反議員の解任・処分
  7. 政党による国民支持の宣言
  8. 政党代表の公開対話への参加
  9. 拘束されたデモ参加者の即時釈放
  10. 警察の暴力停止とデモ規定遵守
  11. 人権侵害に関与した警官・司令官の処罰
  12. TNIの完全な軍営復帰、民間関与停止
  13. 軍の警察業務干渉を防ぐ内部規律強化
  14. 危機時にTNIが民間介入しない誓約
  15. 全労働者への妥当な賃金保障(教師・医療・配達員等)
  16. 大量解雇防止と契約労働者保護の緊急措置
  17. 労働組合との対話開始

長期的要求(8項目/1年以内に取り組むべき改革)

  1. 国会(DPR)の抜本改革、特権廃止、独立監査
  2. 政党改革と財務公開、野党機能の保障
  3. 公平な税制改革と国民負担の撤回
  4. 汚職資産没収法の制定、KPK強化
  5. 警察の人道的・分権的改革
  6. 軍(TNI)の完全な文民領域撤退、法改正
  7. 人権委員会や独立監視機関の権限強化
  8. 経済・労働政策の再検討、先住民と環境の権利保護

2025年9月2日:国民の非難が集中していた五人の議員が「活動停止」に

全国的な抗議の高まりを受け、特に非難の的になった五人の議員に対し、議員資格を「非アクティブ(活動停止)」とする処分を発表。これは2025年9月1日より実施され、五人の議員が党や議会から事実上“外される”形に。ただし「非アクティブ(活動停止)」とは辞任ではなく、この措置がいつまで取られるのかは不透明です。

ウヤ・クヤ(Uya Kuya)

  • 発言:「Lah, kita artis. Kita DPR kan kita artis」
  • 日本語訳:「ほら、私たちアーティストじゃないですか。国会議員なんだから、私たちはアーティストですよ」

新当選の国会議員、テレビ司会者出身。議員としての職務を軽んじ、芸能人の延長のように語ったことで、国会議員の責任感を欠いていると受け止められ、批判を浴びました。

エコ・パトリオ(Eko Patrio)

PAN所属の国会議員、コメディアン出身。

具体的な問題行動:2025年8月15日の国会年次議会閉会時、式典の場で他の議員らとともに壇上で踊る様子がソーシャルメディアで拡散され、「経済的苦境にある国民への配慮がない」として厳しく批判されました。さらに、自身のTikTokにて“DJパロディ動画”を投稿し、批判を揶揄しているかのように受け止められ、国民の怒りを一層かいました。

アディス・カディル(Adies Kadir)

  • 発言:「tunjangan beras naik menjadi Rp 12 juta dari Rp 10 juta … tunjangan transportasi menjadi Rp 7 juta dari Rp 4–5 juta」
  • 日本語訳:「米の手当が1000万ルピアから1200万ルピアに増額され…交通手当(ガソリン代)も400万〜500万ルピアから700万ルピアに引き上げられた」

ゴルカル党所属の国会議員、同党幹部。国民が物価高で苦しむ中、自分の手当がどれほど増額されたかを列挙したことが問題に。特権的な手当増額を当然のことのように話したことが「国民の苦境を軽んじる発言」と受け止められました。

ナファ・アーバック(Nafa Urbach)

  • 発言:「tunjangan rumah sebesar Rp 50 juta bukan kenaikan, melainkan kompensasi … anggota Dewan itu kan, gak orang Jakarta semuanya」
  • 日本語訳:「5000万ルピアの住宅手当は増額ではなく補償なんです…議員はみんなジャカルタ出身じゃないんですから」

ナスデム党所属の国会議員、元歌手・女優。庶民感覚からかけ離れた弁明として受け止められ、SNS上で「不用意な発言」として炎上しました。

アフマド・サフロニ氏(Ahmad Sahroni)

  • 発言:「Orang yang cuman mental bilang bubarin DPR, itu adalah orang tolol sedunia」
  • 日本語訳『ただ「議会を解散しろ」と言うだけの人々は、世界一愚かな人たちだ』

ナスデム党所属の国会議員、党幹部。国民を「愚か者」呼ばわりした事は侮辱と受け取られ、大きな批判の的となりました。

2025年9月1日〜現在:SNSが「ピンク」と「グリーン」で溢れる

2025年8月28日、ジャカルタでの抗議デモ中に撮影された一枚の写真が大きな象徴となりました。警察の盾の前に毅然と立つ、ピンクのヒジャブを纏った女性「Ibu Anaさん」の姿です。SNS上ではこの姿が「Brave Pink」と呼ばれ、勇気の色として一気に広まりました。

同じ日、配達中だったアファンさんが警察の装甲車に轢かれて死亡し、彼が身に着けていた緑のジャケットは「Hero Green」として希望と連帯の象徴になりました。その後、9月1日から2日にかけて、SNSではプロフィール画像をピンクやグリーンに変える動きが急増し、この2色を使ったアートやコンテンツ投稿がトレンドになりました。この2色は「17+8の人民要求」への支持を視覚的に示すアイコンとなり、今現在のSNSに溢れています。

2025年9月5日:デモ参加者の逮捕状況

現在まで、全国の15の警察署で3,195人が逮捕され、そのうちジャカルタの逮捕者数は 1,240人に上りました。日別では、25日 351人(未成年196人含む)、26日 39人、28日 600人、29日 1,334人、30日 1,029人(セマラン327人、デンパサール132人 他)、31日 65人です。バリ州警察(Polda Bali)では、この30日に132人が拘束されました。

Human Rights Watch は2025年9月3日時点で全国合計3,000人以上が拘束されたと報告しており、逮捕者数は数千人規模に達しています。これらの数字は、デモが広範囲に広がる中で治安当局の取り締まりも強まっていたことを示しています。

まとめ

以上、この記事を描いている2025年9月2日時点の情報をまとめました。また大きな動きがあったら追加していきます。Stay safe!

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