質問です。この前、日本語学校で「天気はちょうどいい」と言ったら、先生に「それはちょっと変だよ。『気温はちょうどいい』のほうがいい」と言われました。
でも、英語やドイツ語では「天気がちょうどいい」と言うのは普通で、気温だけじゃなくて、湿度や風も含めて「ちょうどいい」と言いたいときに使います。日本語でも同じように言えると思うんですが、どう思いますか?
I have a question. The other day at Japanese language school I said,「天気はちょうどいい(Tenki wa cho-do ii)」 and my teacher told me, “That’s a little weird. It would be better to say,「気温はちょうどいい(Kion wa cho-do ii)」.
But in English and German, it’s normal to say, “The weather is just right,” and you use it when you want to say that something is “just right” not just about the temperature, but also the humidity and wind. I think I can say it the same way in Japanese, what do you think?
先日、ドイツの生徒さんからこんな質問をもらいました。自分メモ用にブログに残しておきます。
目次
「ちょうどいい」とは?
「ちょうどいい」は、「ちょうど(副詞)」+「いい(形容詞)」の連語で、文法的には [形容詞] のように使います。「ちょうどいい」は 状態を述べる言葉で、「多すぎず、少なすぎず、バランスがいい」という意味があります。
例えば…
「ごはんの量がちょうどいい(=多すぎず少なすぎず、ぴったり) 」
「このTシャツのサイズはちょうどいい( =大きすぎず小さすぎず、ぴったり) 」
「お風呂の温度がちょうどいい(=熱すぎずぬるすぎず、ちょうどいい) 」
「天気がちょうどいい」とは言えない理由は?
「ちょうどいい」は元々「数量」「程度」など測れるもの・比べられるものに使う表現だからです。(例外あり、下記参照)
気温は「数値」で表せるので、「ちょうどいい」と言いやすいです。 たとえば「20℃くらいがちょうどいい」と、具体的にイメージできます。「今日は暑くも寒くもなくて、ちょうどいいなぁ〜」という気持ちにピッタリです。
しかし「天気」はいくつかの要素(気温、湿度、風、雨量など)の複合的な組み合わせなので「ちょうどいい」とは言いにくいです。 「天気」といえば「晴れ・くもり・雨」などで、数字では表せないし、人によって好みが違う曖昧な概念です。「天気がちょうどいい」は、意味は分かりますが、不自然な日本語になります。
⭕️「ちょうどいい」が使える言葉
気温
「今日は気温がちょうどいいから、外でピクニックしようか。」
広さ
「一人暮らしにはこのアパート、ちょうどいい広さだと思う。」
大きさ
「このバッグ、通勤に使うにはちょうどいい大きさだね。」
重さ
「この鍋、しっかりしてるけど重さもちょうどいいから使いやすいよ!」
音量
「映画観るならこのくらいの音量がちょうどいい、うるさくないし聞き取りやすい。」
明るさ
「読書にはこのスタンドライトの明るさがちょうどいいね。」
速さ
「初心者ランナーにはこのペースがちょうどいい速さかも。」
高さ
「この椅子、テーブルと比べてちょうどいい高さで座りやすい!」
距離
「家から駅まで歩くと、散歩にちょうどいい距離なんだよね」
❌ 「ちょうどいい」が不自然な言葉
天気
❌「今日はちょうどいい天気だね。」
なぜ不自然?:
天気は「晴れ」「曇り」「雨」などの状態で表すことが多く、「ちょうどいい」とすると曖昧すぎる。気温や湿度など、何がちょうどいいのか不明確。
自然な言い換え:
✅「今日は過ごしやすい天気だね。」
✅「今日はぽかぽかしてて気持ちいいね。」
体調
❌「最近、体調がちょうどいいです。」
なぜ不自然?:
体調は「良い・悪い・万全」などで表現するのが普通で、「ちょうどいい」と言うとよくも悪くもない曖昧な状態に聞こえてしまう。
自然な言い換え:
✅「最近、体調が安定しています。」
✅「体調はいい感じです。」
機嫌
❌「あの人の機嫌がちょうどいいタイミングで話しかけた。」
なぜ不自然?:
機嫌は「良い・悪い」や「上機嫌・不機嫌」などの形で言うことが多く、「ちょうどいい」は微妙なニュアンスで伝わりにくい。
自然な言い換え:
✅「あの人が機嫌のいいタイミングで話しかけた。」
✅「ちょうど話しかけやすい雰囲気だった。」
愛情
❌「この人の愛情はちょうどいいから、安心できる。」
なぜ不自然?:
「愛情がちょうどいい」は感覚的すぎてやや冷たくも聞こえる。愛情に“ちょうどよさ”を求める表現が機械的に響くことがある。
自然な言い換え:
✅「この人の愛情表現は重すぎず、自然体で安心できる。」
✅「ちょうど心地よい距離感でいてくれる。」
💬 「ちょうどいい」が例外的に使えるケース
例外的に、「ちょうどいい」が、総合的・抽象的な概念に使えるケースもあります。
距離感
「同僚のAさんは、ちょうどいい距離感で接してくれる」
「お隣さんとはちょうどいい距離感で付き合えているから、気を使いすぎずにいられる。」
この表現は、人間関係において「近すぎず遠すぎず、心地よい関係性」を表す時によく使われます。「心理的な距離」という比喩的な概念に使っていますが、この場合は自然です。
いかがでしたか?生徒さんからの質問シリーズでした!
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