目次
チャオサームプラヤー国立博物館とは
タイの世界遺産アユタヤにある国立博物館です。アユタヤ歴史公園の南に位置しており、敷地内は3つの建物に分かれています。
- 第一棟・・・チケットオフィスがある一番大きな建物。状態の良い仏像、木彫り作品、美術品を見ることができます。タイ語と英語の案内があります。
- 第二棟・・・第一棟の裏手にある建物。石器、土器、陶器などが展示されています。案内はタイ語だけですが、QRコードで読み込んだ先のWebページには英語の案内もあります
- 第三棟・・・一とニの間にある、池の中に建てられたタイ建築の建物です。展示品はこれといってありませんが、タイ式の家を見学したり、ナマズに餌をあげることができます。おまけ
チャオサームプラヤー国立博物館への行き方
私はレンタル自転車で行きました。アユタヤ駅から歩けないことはありませんが、暑い日差しの中を歩くにはちょっと遠い距離なので、自転車かGrab taxiがお勧めです。
歴史公園の中心にあるので他の遺跡と一緒に回っても時間が無駄になりません。木の根に埋まった仏頭が有名な「ワット・プラ・マハータート」からは徒歩10分、自転車で5分ほどです。
入場料は150バーツ
2022年4月時点の入場料は150バーツ(550円)。緑色の冊子とチケットをもらいました。このチケットは他の棟に入る際に提示するので失くさないようにしましょう。
写真撮影OK
「フラッシュを使わなければ撮影OK」ということで写真を沢山撮ることができました。ただし、第一棟のエアコンが効いている幾つかの個室は写真禁止になっていました。それ以外はどこも写真OKということでした。
第一棟の展示品
メインとなるのが一番大きな建物の第一棟です。入口でチケットを購入し、そのまま建物の中へ。第一棟は二階建てになっており、特に順路は決まっていませんが、一階を見てから二階に行くのがしっくり来ました。
最初に目に飛び込んで来たのは巨大な仏頭です。
15世紀初頭 ウトーン様式(U Thong Style)の仏頭
ウトーン様式とは
タイの南都アユタヤで発展した仏像の様式の一つです。12世紀〜13世紀、13世紀〜14世紀、13世紀〜15世紀の3つの時代に分かれています。どの時代にも共通している様式は以下の通り
- 髪の生え際と額の間の小さな帯
- ローブは左肩から長いフラップがあり、直線で終わっている。
- 指の長さが不揃い
- 髪型は小さく、先端はややとがったカールを持つ
- 脚を折って座った姿勢
- シンプルな凹型の台座
タイ語と英語のパネルがあります。QRコードからWebページに飛ぶと詳細な解説が見れますが、こちらもタイ語と英語のみでした。
17-18世紀 アユタヤ様式 木彫りのドアパネル
18-19世紀 アユタヤ様式 マーラを鎮圧するブッダ
ブッダの遊行像
ブッダが歩いている遊行像は日本では少ないですが、タイではたまに目にします。右足を前に出して重心を傾ける様式は「コントラポスト」という古代ギリシャ彫刻にも通じる特徴です。
ガルーダに乗るヴィシュヌの木彫り
ヒンドゥーとの融合が面白い
12世紀 クメール様式 7つの龍(ナーガ)に守られたブッダ
ナーガとはインド神話に起源を持つ蛇の精霊あるいは蛇神のこと。釈迦が悟りを開く時に守護したとされ、仏教に竜王として仏教に取り入れられて以来、守護神となっています。ここでもインド神話との融合が見られて興味深いですね。
7世紀-11世紀 ドヴァーラヴァティー様式 瞑想するブッダ
ドヴァーラヴァティー様式とは、6世紀ごろから11世紀ごろまでに存在したといわれるモン族によるドヴァーラヴァティー王国で発達した美術様式のことです。
7世紀-11世紀 ドヴァーラヴァティー様式 説法をするブッダ
こちらもドヴァーラヴァティー様式の仏陀像。手のサイン(印相)は右手が説法印、左手が与願印を表しています。
その他の展示品
第二棟の展示品
第一棟から歩いて数分の第二棟は、ローカル度とオタク度が上がります。案内はタイ語のみですが、QRコードを読み込むと英語の解説ページを見ることができます。
私自身は先史時代の土器が見れて楽しかったのですが、普通の方にはオタク過ぎるかもしれません…。古いベンジャロン焼きは美しくて見る価値があると思います。
先史時代の土器
ここで展示されているのはバンチャン土器(Ban Chiang pottery)と呼ばれるものです。
バンチェンは、ウドンタニ県ノンハン郡にある地域の名前で、タイにおける重要な先史時代の遺跡のひとつ。バン・チャンという言葉は、バン・チャン地区とその周辺地域で発見された、約4000年前からの先史文化の名称としても使用されています。
バンチェン陶器は、バンチェン文化圏の人々によって作られた陶器で、一般に知られているバンチェン陶器は、透明で明るい表面に赤で文様を描く独特の技法と、後期2,300年〜1,800年頃に流行した螺旋文様を描いたものがあります。
これらは葬儀のために作られたもので、死者の道具と一緒に墓に納められました。容器の形は、受け皿、花瓶、鉢、水差しなどがあります。
スコータイ時代の陶器
ユニークなデザインが楽しいスコータイ様式の陶器です。
スコータイ陶器は、スコータイ県の窯場で生産された陶器で、一般にセラドン焼と呼ばれています。
仏教時代18世紀ごろから生産されたと想定されています。水差し、水壺、受け皿、唾壺、やかん、皿、鉢、人形などの形や、マカラの頭や巨人の頭などの建物装飾など、さまざまなものが出土しています。
アユタヤ時代の土器
アユタヤ時代に作られた突出し脚の焼き土鍋は、炊飯器を置くためのコンロです。下部は薪を置くための3本脚の台座になっています。湯沸かし用として使われることが多かったとされています。
ベンジャロン焼
ベンジャロン焼は、タイが中国の窯元に発注して生産された陶磁器の総称です。タイの職人が描いた図案に従って、3〜8色の釉薬で上絵付けをし、現地に納品されていました。
第三棟の展示品
ほぼおまけな感じの第三棟。博物館を囲んでいる水辺の中に建てられている伝統的な木造建築です。スタッフさんもやる気がありませんでした笑。
展示品としてはほぼ見るものはありませんでしたが、ナマズさんに餌付けができたり(餌代10バーツ)、東家に座って休憩することができます。
いかがでしたか?
田舎町アユタヤの博物館なので期待していませんでしたが、国立博物館だけあって思ったより充実していました!仏教美術、タイ美術に興味がある方はぜひ足を運んでみてくださいね。
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