こんにちは!ノマド日本語教師のコニ(@koni_bali)です。
「すいません」は、もともとお詫びの言葉ですが、現代日本語では「お礼」としても広く使われます。駅で道を教えてもらったとき、席を譲ってもらったとき、「ありがとうございます」と言っても、「すいません」と言っても、どちらも自然に聞こえます。
でも実はこの2つ、感情の向け方(フォーカスするポイント)や文脈の使い分けに違いがあるんです。
この記事では、日本語教師として知っておきたい「ありがとう」と「すいません」の違いや、日本語教育の現場での教え方について、やさしく解説します。
目次
「ありがとう」の意味と使い方
「ありがとう」は、「有り難し(ありがたし)」=「めったにない」「貴重な」から来た言葉です。
相手の善意や行為に対して、その価値をしっかり受け取り、感謝の気持ちを伝える表現です。
- プレゼントをもらって →「ありがとうございます」
- 重い荷物を持ってもらって →「ありがとう!」
ポジティブな感情をダイレクトに伝えたい場面でよく使われます。
「すいません(すみません)」の意味と使い方
「すいません」は、「済まない(すまぬ)」=「気が済まない、申し訳ない」という気持ちが語源です。「すみません」を言いやすくした形が「すいません」で、日常ではこちらが定着しています。
本来は謝罪表現ですが、現代では「してもらって申し訳ない+ありがとう」という意味で、謝罪と感謝が融合した表現として広く使われています。
- 重い荷物を持ってもらって →「すいません…助かりました」
- 席を譲ってもらって →「すいません、ありがとうございます」
相手の好意に対して「申し訳ない」という気持ちを先に出すことで、丁寧さや遠慮の気持ちを表す言い方です。
お礼としての「ありがとう」 vs 「すいません」
比較項目 | ありがとう | すいません |
---|---|---|
感情のフォーカス | 相手の善意・行為への感謝 | 相手にかけた負担・手間への配慮 |
主な意味 | 純粋な感謝 | 感謝+申し訳なさ |
印象・トーン | 明るくポジティブ | 丁寧で遠慮がち |
使用場面 | フォーマル・カジュアル両方 | カジュアル・会話中心 |
日本語教師のための教え方のヒント
「ありがとう」と「すいません」の使い分けは、初級後半〜中級レベルで語用(プラグマティクス)に関心が出てきた頃に導入するのが効果的です。
特に、依頼・感謝・謝罪などの表現を学習するユニット(例:みんなの日本語 初級II第41課以降や、できる日本語中級)などで、多機能表現の使い分けを学ぶタイミングで扱うと自然です。
① 文脈の違いを可視化する
シチュエーションイラストやロールプレイを使い、「ありがとう」と「すいません」のどちらが自然かを体感させます。
- ロールプレイで「ありがとうだけ言う/すいませんだけ言う/両方言う」のパターンを比較
- イラストや短いセリフ付きカードを見せて、「どれを言いたくなる?」と選ばせる
「店員さんを呼び止めてメニューを尋ねました」→どれ?
「駅の階段で荷物を落としたら、知らない人が拾ってくれました」→どれ? - 日本語母語話者の感想も共有すると、文化的背景が伝わります
② 言語文化の違いを説明する
英語などでは「Sorry」と「Thank you」は明確に使い分けますが、日本語では「すいません」が「感謝+配慮」の意味で多用されることを伝えます。
③ フォーマルな表現との使い分けを指導
改まった場面でお礼を伝える場合は、「ありがとうございます」「お手数をおかけしました」「感謝申し上げます」など、より丁寧な言い換えがあることも教えましょう。
まとめ
「ありがとう」は相手の行為への素直な感謝。
「すいません」は相手の手間・負担への配慮+感謝。
日本語学習者には、「どんな気持ちを伝えたいのか」「相手にどう伝わるか」を意識させることで、より自然で丁寧な日本語表現が身につきます。
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