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叔母がドイツで他界
2021年にドイツで40年暮らしていた叔母が他界しました。
私が子供の頃からバリバリ働いていて、たくましくて頭が良くて、大好きな友達みたいな叔母でした。
叔母の他界による手続きは姉である母の代わりに私が引き受けており、手続きはまだまだ続きます(後1年はかかる見込み)。突然の出来事で悲しみの中、色んな方のサポートを受けてここまでやってきました。
同じようにドイツでご家族が他界して混乱している方の役に立てばという目的と、半年経って少し落ち着いた今、手続きと出来事について時系列にまとめておこうという目的で、この記事を書くことにしました。
- 叔母はドイツのハンブルクに約40年在住。国籍は日本
- 務めていた日系企業を退職後、優雅なリタイア生活をしていた
- 配偶者、子供はなし
- 癌については何も知らされておらず寝耳に水
- 同居するパートナーが居たことを他界の知らせと同時に知る
領事館から連絡があった当日
2021年1月某日、私は宮古島のゲストハウスで楽しくワーケーション中でした。
夕方1時間ほどスマホを置いてゲストハウスの方とお喋りして部屋に戻ったら、母より鬼のようなLINE電話履歴が。これは何かあったなと電話をしたところ、叔母が他界した知らせを聞きました。
ハンブルクの領事館から電話があって。○○が癌で亡くなったって。詐欺かと思ったけど、詐欺じゃないみたい…。色々手続きがあるみたいだから、担当者の方と話してくれる?
一報を聞いたときはびっくりしましたが、すぐに冷静になりました。
叔母は癌について私たち家族に一言も言いませんでしたが、独身でずっとドイツに住んでいる叔母がいずれ他界した時には、持ち家マンションや財産相続の手続きは私が全部やるんだろうなと前々から思っていたので。
母と電話で話した後、すぐに領事館の担当者さんが電話をくれ、小1時間ほどお話しました。とても優しく丁寧に説明してくださり、落ち着いた気持ちで話を聞くことができました。
聞けば叔母が他界したのは5日前で、警察(?)から領事館に連絡が入ったのが今日。死去してから5日のタイムラグがありました。驚いて「遅くないですか!?」と尋ねたところ、担当者の方いわく、死去して数ヶ月してから領事館に連絡が入ることもあるそうです。Covid-19でドイツ国内も混乱している状況の中、5日で知らせが来たのは早い方だということ。
電話ミーティングでは、領事館で把握している状況と、これからしなければいけない手続きについて概要を聞き、私のメールアドレスを伝え、今後の連絡はメールで取ることになり。メールが届くことを確認し、初日はここまでとなりました。
最初に決めること
①ドイツに行くか行かないか決める
まず、遺族の代表がドイツに行くかどうかを決めます。遺骨の受取り、遺品の整理、相続の手続きなどが目的になると思います。
私たちは「すぐに行く事は見合わせる」という選択をしました。
行かないことにした理由
- 2021年1月時点、ドイツではコロナが広がっておりロックダウンしていた
- パートナーKさんと私は英語でコミュニケーションが取れ、Kさんは手続きを手伝ってくれる意向だった
- 現地在住の日本人通訳士さんにもサポートをお願いすることができた
- 私は一人でドイツに行くことを希望していたがコロナを心配する母に止められた
②必要手続きをする方法(代理人)を決める
遺族の代表が行っても行かなくても、現地で手続きを履行してくれる代理人は必要です。
私たちは日本人通訳士さんの紹介のドイツ人弁護士Gさんに代理人をお願いすることにしました。が…また機会があれば書きますが、この弁護士さんは能力不足だったのでその後契約をキャンセルし、現在は別の弁護士Sさんに依頼しています。
日本に遺骨が届くまで
亡くなった知らせがあってから手元に遺骨が届くまで、37日間かかりました。これは当時のCovid-19で混乱している状況の中ではかなり早い方だったと思います。
領事館から実家に国際電話で連絡がありました。
連絡があってから3日後、市役所で故人の出生〜現在までの戸籍抄本を取得し、スキャンしたPDFデータを領事館に送付しました。
私は実家に不在、兄は平日は仕事で、「戸籍謄本をスキャンする」ことが母には出来ないので、週末を待つ必要がありました。
領事館のウェブサイトからダウンロードした出生証明書発給申請書を印刷、記入し、スキャンしたPDFデータを領事館に送付しました。受取人は叔母のパートナーKさんにしました。
2日後、出生証明書の発行準備が整ったと領事館から連絡があり、Kさんが領事館を訪れ、手数料10ユーロの支払いとドイツ語の出生証明書を受け取りました。
このステップの詳細は不確かですが、Kさんは出生証明書を持ってドイツの戸籍役場に行き、死亡証明書の発行を申請したんだと思います。
戸籍役場での手続きを持って火葬をする許可を得たと思われます。その後Kさんは葬儀会社と打ち合わせし、出生証明書を取得した2日後に火葬が執り行われました。
火葬日から14日後、葬儀会社に国際死亡証明書が届きました。葬儀会社はこの証明書をハンブルグの墓地管理局(?)に転送し、墓地管理局から遺骨がDHLで発送されました。
遺骨発送から16日後、近所のお寺に遺骨が届きました。ドイツの法律により遺骨を一般家庭に送ることは禁止されており、代わりにお寺さんに受け取りを依頼しましたためです。
遺骨が到着するまではほぼ自力
私たちの場合ですが、パートナーのKさんが領事館での書類の受取り、葬儀会社との打ち合わせ、手配をしてくれたので、火葬〜遺骨が届くまでの手続きにおいては弁護士さんの登場は一切ありませんでした。通訳さんに翻訳を少しお願いしたくらいです。
葬儀会社と火葬費用
支払いはKさんに立て替えてもらい、後で領収書の明細が届きました。
利用した葬儀会社は「Bestattungsunternehmen Bentien Söhne GmbH」という所です。火葬費用の総額は3,106€で、これには諸手続き費用、日本への発送費用など全て含まれています。
葬儀会社の選択や打合せは全てKさんがしてくれたので私は詳細は知りませんが、Googleレビューを見るととても評判が良さそうでした。
時系列でみる手続きの流れ詳細
時系列で詳細の出来事を並べました。叔母が高いしてから日本に遺骨が届くまで約1.5ヶ月、法事を行うまで2ヶ月かかりました。
現地に強力にサポートしてくれるパートナーのKさんがいて、私とKさんが英語でスムーズにコミュニケーションできたので、スムーズに進んだ方だと思います。
2021/01/22 | 叔母Aがドイツ・ハンブルクで癌により死去 |
2021/01/26 | 地元警察(?)から領事館に連絡が入る |
2021/01/27 | 領事館から実家に連絡が入る。沖縄でワーケーション中だった私が母の代わりに窓口となり、領事館の担当者さんに説明を受ける。 領事館からの情報により、叔母には40年同居していたドイツ人パートナーKさんが居たことを知る。また、現地在住の日本人通訳さんを紹介される。 |
領事館とKさんが連絡が取れ、こちらにメールアドレスが届く。英語でKさんにメールを送り、初コンタクト | |
領事館ウェブサイトより、「出生証明書発給申請書(日本語)」のフォーマットを入手 | |
2021/01/29 | パートナーKさんが葬儀会社の打ち合わせ |
2021/01/30 | 私が領事館に ①戸籍謄本(日本語)PDF ②出生証明書発給申請書(日本語)PDFを送付 |
2021/02/01 | 領事館より叔母の出生証明書発行(ドイツ語)の準備が整ったとの連絡 |
2021/02/02 | パートナーKさんが領事館に出向き、出生証明書(ドイツ語)を受取り。(証明書交付代金:10ユーロ)。叔母の遺体を監察医事務所から葬儀場に輸送 |
2021/02/04 | 火葬(火葬代:3106ユーロ) |
2021/02/04 | 葬儀会社より、火葬は予定通り2/4に行われたが遺骨は国際死亡証明書が届くまで発送できないとの連絡(火葬の正確な日時は伝えられず、終わってしばらく経ってから連絡が来ました…) |
2021/02/18 | 葬儀会社より国際死亡証明書が届いたとの連絡。葬儀会社は証明書をハンブルク最大の墓地”Oejendorf”に転送 |
2021/02/19 | “Oejendorf”よりDHLで遺骨を発送。ドイツ法により一般家庭に送付不可のため、お墓があるお寺に発送される。 |
2021/02/20 | 葬儀会社から書類一式がKさんに返却される。 1. 故人のパスポート 2. 故人の出生証明書(ドイツ語)原本 3. 故人の死亡証明書(ドイツ語)コピー(原本は遺骨に同封) 4. 葬儀会社からドイツ年金機構へ死亡届済みの通知 |
2021/03/03 | DLH発送のため1週間程度で到着するかと思っていたが一向に届かない。パートナーKさん経由で葬儀会社に追跡コードをリクエストした所何らかのエラーにより追跡できないとのこと |
2021/03/04 | 追跡可能な番号を取得し、日本郵便のサイトより追跡すると「お届け済み」との表示。遺骨はちょうどその日にお寺に到着していた。 |
2021/03/05 | お寺を訪問し遺骨を受け取り(お寺への支払いなし) 住職には近々法要を行うことを伝え、受取りだけをしてそのまま帰宅。 この日は私の誕生日でした。毎日毎日「まだ届かない・・・」と心配で「途中で紛失したりしたらどうしよう」と不安に思っていました。ずっしりとした叔母の骨壺を手元に受け取った今年の誕生日は一生忘れません。 |
2021/03/14 | お寺を訪問し、法要の打ち合わせ。法要の所要時間は約1時間、費用は47万円(!!!)とのこと。お寺の謎の価格設定と謎の行事についてはまた書くつもりです。 |
2021/03/21 | お寺にて法要。当日は遺骨、お花、お菓子を持参してお寺の本堂を簡単に飾り付け、40分ほどお経をあげてもらいました。 |
領事館からのサポート
当初、ハンブルク領事館の担当者様には本当に本当にお世話になりました。急な事で混乱している最中にとても分かりやすく丁寧に説明をいただき助かりました。ハンブルクに行ったら御礼を伝えに伺いたいくらいです。
ただ、領事館は遺産相続や遺産管理に関することはタッチしません。その部分は故人の家族、通訳さん、弁護士さんなど自分たちで代理人を見つける必要があります。今回、領事館の方からは通訳士さんを紹介いただきました。
以下、担当者さんから頂いたメールの抜粋です。
今後の手続きについて①
コニ様
突然の訃報の連絡にもかかわらず、ご対応、メール返信誠にありがとうございました。これから手続の概要についてご説明申し上げます。
1 来独目的を決める
・ ご遺灰・ご遺品のお受取、相続の整理など。
2 必要手続をドイツで履行する方法(代理人等)を決める
・ 当地における代理人(通訳者)を選任する(必要に応じて)。
・ パートナーのK様が各種手続をお引き受けくださるならお願いする方法もあります。
3 来独の日程を決める
上記手続の状況を勘案して来独の日程を決める。
■通訳者連絡先(認証通訳可)
xxx 様
メール:xxx
電 話:xxx
携 帯:xxx
上記の手続の概要は、現時点で考えられる事項を列挙いたしました。
ご遺志、相続人の有無、財産管理の状況によっても手続が変わってくると存じます。
今後の手続きについて②
コニ様
■必要書類について
葬儀に関する手続において、A様の出生証明書の作成が必要となります。そのためには◎様の戸籍謄(抄)本を取得していただく必要がございます。
出生証明:
https://www.hamburg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/shoumei.html#Geburt
戸籍謄(抄)本を取得後、PDFを当館に送付していただき、出生証明書の作成を申請していただく方法等があります。
出生証明書は、ドイツの戸籍役場から死亡証明書を発行してもらうために必要な書類となります。
死亡証明書は、ご遺灰の日本お持ち帰り、日本における市役所等への届出にも必要な書類となります。
K様が葬儀の準備を進めているとのことで、葬儀の日程によっては来独日程が早まる可能性があると思い、取り急ぎ連絡させていただきました。
また、出生証明書作成に必要な書類と申請方法等につきましても、K様とご相談されるのが良いかと存じます。
現在、相続手続きの真っ最中
遺骨が届いて法事を行い、叔母の供養をするまでが私の中で第一シーズン。その後、相続手続きが本格化する第二シーズンに突入します。上で少し述べたように弁護士の交代などもあり、現在は手続き真っ最中です。
ドイツと日本にまたがる国際相続手続きについても、ドイツ在住のご家族を亡くしてその方が銀行口座や不動産を持っていた方には参考になると思うのでいずれ書きたいと思います。手続きが複雑すぎるのと、実際まだ手続きが始まって間もない(進捗は全体の2〜3割)なのでいつになるか分かりませんが。
もし、今すぐ話を聞きたい!という方がいる場合は、私たちの場合の経験談になりますが、お話することが可能です。(法律相談やアドバイスはしません。個人的に経験した内容をお話します)
ご希望の方はオンラインレッスンの詳細をご覧ください。